情報産業とは何か? [梅棹忠夫]

情報の文明学 (中公文庫)

情報の文明学 (中公文庫)

  • 人類の文明史的展望にたって
  • 今後の展望p149
    • 工業時代の前期には新しい生産システムに人間が適応できず、物質が社会悪となっていた
    • いまは、その物質の暴威に対する、情報の暴威がありうる。
    • 情報はうまく使われれば人類に革命的な力を与えるにちがいない。だが、それは個人の幸福とは無関係である。

人類の可能性の拡大と個人の幸福は別ということか・・・。長期的に見れば個人の幸福にもなると思うのだが。

  • 感覚情報の開発
  • 衣食たりて礼節を知るp153
    • 情報は礼節にあたる。生存だけを考えれば、何の役にも立たない。
    • 人類史的にいって、農業社会、工業社会までは衣食をたらせるためだけの社会だったが、そのことがほぼはたされたとき、礼節の世界がひらけてきた。
    • ところが、情報に対する考え方が、いまはひどく実用主義的になっていて、情報は何かの役に立つものだと思い込んでいる人がおおい

実用性の定義によるのだろうが、個人の満足も実用性の範疇の範囲に入るのであれば、情報もまた実用的なものになりうるのではないだろうか。

  • 情報の概念p154
    • 情報が数学的情報概念にとどまっているかぎり、コンピューターに代表されるものにおきかえられ、人間的要素の入り込む余地のないものになる
    • 文明論的にとらえると、著しく人間的なものになって、単に知識の科学とだけ言ってられなくなる
    • 現代を情報社会時代の開幕ととらえようというのは、情報活動というものが人間存在の根底にかかわる恐ろしく基本的な活動であるとの自覚が、現在人の間にしだいに確立しつつあると考えるからだ。

情報活動は昔からすでに存在はしていたが、自覚することによって幕開けと考えるということなのだろう。そして、コンピュータはそのきっかけを作ったに過ぎないのだろう。

  • メタ世界に構築p156
    • 五感を通じて、現実の世界とは別の世界をつくっている
    • 音楽情報だけでなく、美術情報、さらには科学情報にいたるまでもふくめて、新しい情報世界が開けてきている。これが「メタ世界」や「パラ世界」と名づけられる。