人面バイク

 自動車のエアバッグ装着は当たり前になったが、さらに進んで事故を未然に防げないか。いま、そんな車やバイクの開発が進められている。人はどこまで車に安全を委ねられるのだろうか。【山本明彦】
 怒って目尻をつり上げたようなライト、大きく開いた口に見立てた前輪。ホンダが開発したバイクのデザインだ。
 人間の脳は、人の顔に敏感に反応する。表情で相手の考えを見抜き、状況に応じて対処する。ならばバイクの前部を顔面に見立てれば、注意を引くのではないか、との発想で「人面バイク」が生まれた。
 実際に、MRI(磁気共鳴画像化装置)を使って、このバイクを見る人の脳の反応を調査した結果、人の顔を見たときに似た変化を示した。バイクと四輪車では、同じ地点を同じ速度で通過しても、小さいバイクの方がより遠くに、より遅く進んでいると錯覚しがち。人面バイクは他のバイクよりも距離感で10%、速度感で20%改善した。