グリッドと企業組織とのアナロジー

 グリッドコンピューティングといえば、ついつい大量の安価なサーバーを連結させることで実現しているGoogleのデータセンターの話が思い起こされる。"More Moore"ではなく"More than Moore"を実践しているわけだ。そして、そのGoogleは、全社的にBlogを導入して社員間の連携が図られているというのも有名な話である。
 一つの企業を考えたとき、より優秀な人材を採用し、社員を徹底的に教育したとしても、それはムーアの法則を追い求める場合と同様に、徐々に費用対効果が見合わなくなってくるポイントがあるはずだ。それならば、社員教育はほどほどとして、社員間の連携がよりうまく行くようなネットワーク型の組織を作った方が、トータルの力が発揮される可能性がある。
 グリッドコンピューティングでは、ジョブを制御するグリッドミドルウェアの役割が重要になるが、グリッド型組織においては、グリッドをマネージするスキルがより重要になるのである。

 グリッドと企業組織だけでなく、脳もアナロジーがきくのであろう。デカルトの時代には、脳の中にはホムンクルス(いわゆる優秀な社員?)がいて、その人が脳のほかの部位を操作していると考えられていたが、もちろんそれはおかしくて、現在では脳はそれぞれの機能モジュールに分かれていて、グリッドや新しい組織同様に分散協調処理を行っていると考えられている。
 ただ、その時のマネージの仕組みをどう考えるかは難しい。確かにグリッドではミドルウエアが大事ではあるのであろうが、GoogleのBlogにミドルウエア的なものがあるとは考えづらいし、脳も同様である。この感覚の違いは、前者はハイブリッド型のP2PであるNapsterのようであり、後者はピュア型のP2Pであるグルーテラをイメージしてしまうが、どうなのだろうか。。。