人間の本性とは何か?[スティーブン・ピンカー]
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)
- 作者: スティーブン・ピンカー,山下篤子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2004/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 第五章 ブランクスレートの最後の抵抗
- 脳の構造は遺伝子で決まる
- 神経科学者のローレンツ・カッツは「一緒に発火、一緒に配線」が一種の「ドグマ」になって、遺伝子メカニズムを神経科学者が徹底的に研究する妨げになっていると嘆いている
- しかし、流れは変わりつつあるし、感覚からの情報が何もなくても脳部位が自己組織化できることを示す発見もできてきている
- ある研究チームは、シナプスが完全に停止してニューロンの信号伝達ができないマウスを作ると、脳はかなりの程度に正常に発達し、層構造も神経線維の経路もシナプスも正しい位置にあった。この脳は誕生後に急速に衰退したが、神経活動が、脳の配線よりも維持にとって重要である可能性を示している
- 神経活動よりも遺伝子のほうが、皮質の組織化に重要だという可能性をしめしている
時間の観点から言えば、ダイナミックな活動であるシナプスの活動がダイナミックな組織化を担うと考えるのが自然な気がするが、細胞の時間と脳の時間は違うのだろう。一方で、平衡状態のように外から見れば安定して見えるものも、分子レベルではダイナミックなものもある。