創造性

生物の進化の過程でも脳の思考の過程でも同様なのですが、“スモールワールド・ネットワーク”と言われるように、あまり情報の共有が密になってしまうと、本当に新しいビジネスのシーズやアイデアというものは生まれにくくなってしまうということです。そういったものは、必ずオフラインから来るものだからです。つまり、ITによって効率が上がるということと、創造性が高まるということは相反するものなのです。この点が、企業の経営者やマネジメントをする人たちが最も気にしなければいけない点だと思います。

最近、私が盛んに言っていることのひとつに、“偶然の出会い”を意味する“セレンディピティ”という概念があるのですが、僕はITをうまく使うことでセレンディピティを高めることができると思っています。 そして、僕はそのための5要素というものを考えています。それは「行動して」「気付いて」「観察して」「理解して」「実現する」ということです。

“脳をいかにオープンシステムとして考えるか”ということも重要です。論理が閉じているのに対して脳はオープンで、外界と自分の無意識との間で絶えずやりとりをしていないと、ちゃんと働いてくれないし、新たな創造もないんですよ。

効率性と創造性は相反するものであると思うが、その両方をこなしている脳はやはりすごいと思う。その観点からも、確かに脳をオープンシステムとして考えるのももっともだが、オープンシステムとクローズシステムを使い分ける存在としてとらえてもよいと思う。そのバランスをどのように保つかがもっとも大事ではないだろうか。