相反する原理

 何よりも、コンピュータ、インターネットなどの情報環境の変化により、人間の仕事がより「創造性、コミュニケーション」方向にシフトして来ていることが大きい。
 創造性やコミュニケーションは、指揮命令系統で強制することができないのだ。
 もう一方で、ITの発達により、具体的な数字をロジカルに積み上げる作業も可能になった。
 自発性と、ロジックや数字の積み上げ。この二つが双発エンジンのようにあれば強い。

そのナレーションで、最後に、「また一つ、地球のかけがえのなさを見つけました」というところがあるが、 あれは水戸黄門の印籠のようなもので、あれがないと落ち着かない。
 人間は不確実性や偶有性を好む傾向を持つが、一方で黄門様の印籠や「地球!ふしぎ大自然」の「また一つ」のように、定型的なところに「引き込まれる」ことをも好む。
 生命作用というのは単一ベクトルでは支えきれず、必ず一見相反する二つの原理の間で揺れ動くのだろう。

 ついつい正解を求めてしまう風潮が強い中で、このように一見自己矛盾をはらんでいるような事柄を内包できることは本当にすばらしいことだ。
 こうなると、このような状況を許容している脳というシステムに対して更なる興味が深まるものだ。