日本語の壁が参入障壁

 日本は幸か不幸か、日本語という壁を持っている。自戒を込めて言えば、特に社会科学者は日本語市場という参入障壁の高い市場の中で暮らしているので、グローバル競争にさらされる圧力が小さい(もちろん自然科学者はもっと強い圧力にさらされている)。そうした壁は、外国からのアイデアを輸入し、それを日本の文脈でリミックスし、何かを加えていくことを可能にしている(まさにこのコラムがそうだ)。日本の科学、技術、芸術などにおける強さはリミックスの力にある。しかし、それも相対的な力に過ぎない。クリエイティブな才能をどれだけ生み出せるか、そして外から惹きつけられるかが問われるようになる。それは大学も会社も国も同じことだろう。研究的職務に従事する狭い意味での科学者だけでなく、広い意味でのクリエイティブな人材がもっと必要だ。